【管理栄養士監修】ファスティングとは?メリットややり方を徹底解説!

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【管理栄養士監修】ファスティングとは?メリットややり方を徹底解説!

最近、ファスティングという言葉をよく耳にするようになりました。
しかし、実際にどのようなことをするのか、どんなメリットがあるかを知らない人も多いと思います。
今回は、ファスティングのメリットや詳しいやり方を徹底解説します。

ファスティングとは?

そもそもファスティングとはどのようなものなのでしょうか。
ファスティングの基本について説明します。

ファスティングの意味

ファスティングとは、英語の「Fast」(断食する)が語源です。
つまり、ファスティング=断食であり、この2つの言葉は同じ意味を持っています。
古来より、断食は宗教上の儀式や精神的修行として行われてきましたが、最近では健康管理や美容の面でも注目され、研究が進んでいます。
その結果、ダイエットやエイジングケア、腸活などの目的で取り組んでいる人が増えているようです。

ファスティングと似た言葉

ファスティング(断食)と似た言葉に「絶食」があります。
両者は固形物を摂らないという点で共通しているため混同されやすいですが、飲み物に関しては違います。
絶食は水以外のものを摂取しないことです。
それに対してファスティングは、必要な栄養素と最低限のエネルギーを飲み物で補いながら行います。

注目されている理由

ファスティングの目的は、食べ物の摂取を控えたり、食事の時間を整えることで、胃腸などの消化・吸収を行う器官を休めることです。

現代人の食生活は、内臓に大きな負担をかけていると言われています。
遅い時間の食事や脂っこい食事、脂肪分の多いお菓子、砂糖がたっぷり含まれているジュースなど心当たりがある方も少なくないのではないでしょうか。
こうした食習慣を続けていると、内臓に不調をもたらすことは当然予想できます。

食べ物を消化・吸収して栄養を蓄える、老廃物や水分、毒素を排泄するといった本来の内臓の働きが、十分にできなくなってしまうのです。
その結果、便秘、体のむくみ、代謝の低下など、体調を崩す原因に繋がる可能性があります。

体の不調を感じる人が増えている中で、こうした食習慣による負担から内臓を一時的に解放することができる点で、ファスティングが注目されているのです。

ファスティングはこんな人におすすめ!

ファスティングによって、消化器官を休ませることで、消化に使われていたエネルギーが代謝・排出にスイッチされます。
その結果、デトックスされやすい状態になり、腸内環境の改善と代謝の活性を促すことができます。
ではファスティングの具体的なメリットを紹介します。

ファスティングをやるメリット

①腸内環境の改善

ファスティングは固形物を摂らないため、体内に溜まった老廃物や毒素の排泄を高める効果があると言われています。
また、日頃過剰に摂取している食品を摂らないことで、腸内環境をリセットすることができます。

②やせやすい体質

ダイエット効果を期待して、ファスティングに取り組む人もいるかもしれません。
ファスティング中は食事を摂らず摂取カロリーを抑えることになるため、体重が減る人がほとんどです。
また糖質を摂らないことで、エネルギーを作り出すために脂肪が燃焼しやすくなるため、ダイエットを助けることにも繋がります。

また、ファスティングによって胃腸を休めることで、消化機能を本来の状態に戻すことができます。

さらに、ファスティング後の食事に気を付けることでリバウンドも起きにくく、やせやすく太りにくい体質作りに効果的と言えるでしょう。

③むくみの解消

ファスティングは固形物を摂らない期間を作るため、消化管内のデトックスができ、体内環境を整えやすくなります。
体内に溜まった老廃物や毒素の排泄を促進するため、むくみの解消が期待できます。

④内臓の休息

食べ物を摂取すると、消化して排泄されるまでに24〜72時間もの時間がかかります。
全ての食べ物が消化しきれていない状態で、次の食事をしてしまうと、胃や腸など消化に関わる内臓は休む暇なく働き続けることになります。
そのため、ファスティングで固形物を口にしない期間を設けることで、働き続けている内臓を休ませてあげることが大切です。
また、普段から濃い味の食事や外食が多い人は、味覚がリセットされることで味に敏感になり、薄味でも満足できるようになります。
これによって、普段内臓に負担をかけていた食生活を改善するきっかけにもなります。

⑤肌トラブルの改善

肌荒れの原因のひとつに、腸内環境の悪化があります。
ファスティング中は胃腸を休めることで、ニキビや吹き出物などの肌トラブルの原因になる有害物質や、老廃物を排出する働きが強まるとも言われます。
腸内環境が整うことで、こうした肌トラブルの原因が減り、美肌効果が期待できるでしょう。

ファスティングの基本的なやり方

ファスティングには、準備期間、断食期間、回復期間の3つのステップがあります。
間違った方法で行うと体調を崩してしまう可能性がありますので、正しいやり方を知って行いましょう。

①準備期間

準備期間は、基本的に断食期間に入る前日までの1~5日間です。
断食の状態に慣れるためのウォーミングアップ期間で、ファスティング期間の辛さを軽減できると言われています。
また、急に断食してしまうと、体が飢餓状態になったと勘違いしてしまい、より脂肪を溜め込もうとしてしまいます。
そのため、準備期間を設けることがとても大切です。

準備期間中の食事は、腹八分目で抑えます。
また、断食期間の前日は20時までに食事を終えましょう。
食事は和食がおすすめで、糖質や脂っぽいものを過剰に摂取したり、腸内環境が乱れるような食事を控えることが大事です。
具体的には、以下のような食品が挙げられます。

準備食として避けた方が良いもの

肉、魚、卵、乳製品などの動物性食品
カフェインやアルコールを含むもの
パンやパスタなどの小麦製品
揚げ物など脂っこいもの
甘くて高カロリーなお菓子、白砂糖が入っているもの

②断食期間

固形物を一切口にしない期間になります。
この期間は、水や酵素ドリンク、ノンカフェインの飲み物など消化に負担のかからない飲み物を、一日2リットルを目安に飲んで過ごします。
また、必要な栄養素をサプリメントやドリンクで摂取する事がおすすめです。
飲むタイミングは特に決まっておらず、いつもの食事時間、空腹を感じた時など、自分の好きなタイミングで摂取しましょう。

③回復期間

少しずつ通常の食事に戻していく回復期間は、ファスティングの成功を左右する大事な期間です。
断食期間後の体はリセットされた状態のため、デリケートになっている体の負担にならないものから食べ始めましょう。
重湯やおかゆ、具なしスープなどの流動食からスタートし、徐々に固形物を入れていきます。

回復期間では、和食中心に「まごわやさしい」の食材を意識して食事をしましょう。

ま:豆類、納豆、豆腐
ご:ごま、ナッツ類
わ:わかめなどの海藻類
や:野菜
さ:魚(準備期間は摂らない)
し:しいたけなどのきのこ類
い:いも類

なお、体に負担をかけないために、回復期間はファスティングした日数分を設けるのが理想とされます。

ファスティングするときの注意点

ファスティングを始める前に、いくつか注意点を解説します。

ファスティングに向かない人

体の内側からきれいになりたいと思う方は多いかもしれませんが、妊娠中や生理中の方は避けた方が良いと言われています。
妊娠中の場合は、母体が栄養不足になると胎児にも影響があったり、貧血に陥る場合があります。
また妊娠中でない人も、ファスティングを始めるなら生理後の時期が良いでしょう。

栄養不足による体調不良

生活習慣やホルモンの状態によって個人差はありますが、ファスティング開始後の1~2日目になると、一時的に頭痛や吐き気、腰痛、冷え、眠気、脱水症状、脱力感などの「好転反応」と言われる体の不調を感じる場合があります。
「好転反応」はファスティングの効果が出ている判断になり、主な原因は、低ナトリウム状態と低血糖状態の2つがあります。
好転反応が出た場合は、酵素ドリンクやサプリメントを多めに飲む、天然塩や黒酢をなめる、無添加の梅干しを食べるなどでミネラルを補給します。
また、具なしの味噌汁を少し飲むのも良いでしょう。

症状が治まらなかったり、あまりに症状が辛い場合は、ファスティングを中断することも大切です。
不調の対策として、準備期間を1週間ほど長めにとることで、症状を軽減できるとも言われます。

水分補給

断食期間は食事をしない分、水分補給のタイミングが少なくなってしまいます。
意識して、水を2リットルは最低でも飲むようにしてみましょう。

ストレスによる暴飲暴食

ファスティングでは、食欲を我慢して水分のみで過ごすため、ストレスがたまる人も少なくないでしょう。
ストレスの反動で、ファスティング後に暴飲暴食をしてしまう人もいるでしょう。
しかし、それではせっかくのファスティングの効果が半減してしまい、むしろリバウンドしてしまう恐れがあります。
ファスティングの効果を発揮するのに一番大事な回復期をしっかり設け、徐々に栄養を取り入れることに体を慣らしていきましょう。

さいごに

ファスティングのメリットや基本的なやり方・注意点について解説してきました。

ファスティングは、胃腸などの消化・吸収を行う器官を休めることで腸内環境がリセットされ、むくみの解消や肌トラブルの改善など様々なメリットが期待できます。
ただし、間違ったやり方をすると、かえって体調を悪くする可能性もありますので、正しいやり方を知っておくことが大事です。
やせることだけが目的ではなく、食生活を改善したり体の調子を整えることが目的です。
ぜひ、正しいやり方を知って、自分の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

東海林 莞奈  管理栄養士

経歴
家政学部・管理栄養学科を卒業後、老人ホームと保育園で給食管理業務を経験。
現在はフリーランスとして、離乳食や家族向けの調理サービスを提供している。
子ども向けの食育や栄養講座、ファスティング講座の講師としても活躍。

自己紹介
フリーランス管理栄養士の東海林莞奈です。
これまでは、子どもとお年寄りの食事管理に関わってきました。
この経験を活かし、家庭での食事や栄養をサポートしたいと思いフリーランスに転向。
今後は、働く世代やママなど、さらに幅広い方の健康をサポートする活動をしていきたいと考えています。