【管理栄養士監修】腸活が気になる人必見!メリットや方法を解説

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【管理栄養士監修】腸活が気になる人必見!メリットや方法を解説

「腸活」という言葉をよく耳にしますが、そのメリットや実践方法についてはよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
健康や美容につながると言われる腸活について、腸の働きを踏まえたメリットや実施方法を紹介します。

腸活とは?

腸活とは「腸内の環境を整えること」を目的とし、バランスのとれた食生活や適度な運動、睡眠など、腸に良い習慣を取り入れていくことです。
腸活により腸内細菌のバランスを良くすることで、腸が持つ本来の力を取り戻すことが期待できます。

腸の働きについて

人間を含む多細胞生物は、腸から進化していると言われるほど、腸は重要な役割を担っています。
腸は主に「食べ物の消化」「栄養の吸収」「老廃物の排出」を行います。
また、人体で最大の免疫器官であるのに加え「セロトニン(幸せホルモン)などのホルモンの合成」や「情報の処理と伝達」の働きがあります。

腸内には、全身の免疫細胞の約70%が存在しています。
外敵が侵入することにより、免疫細胞が危険察知をして病気から身を守ります。
また、腸は身体全体の約90%のセロトニン(幸せホルモン)をつくり、全身にホルモン分泌を促しています。
腸には腸管神経系と言われる独自の神経ネットワークが発達しており、脳の指令が無い場合でも情報を処理をして伝達できると言われています。

「腸内フローラ」とは?

腸内フローラとは、腸内環境のことです。
腸の中を顕微鏡で覗くと、多種多様な細菌が集合体をつくって生息しているのがわかります。
その様子が、植物が群生している「お花畑(flora)」のように見えることから、腸内フローラと呼ばれるようになりました。
正式には「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と言います。
腸内には約1,000種類、約100兆個もの細菌が生息していると言われており、それらをバランス良く整えることで、腸内環境を良い状態に保つことができます。
腸内細菌は食生活や生活環境にも関係しているため、一人ひとりパターンが異なります。

理想的な腸内フローラ

腸内細菌は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられます。
それらのバランスは「善玉菌:悪玉菌:日和見菌 = 2:1:7」であることが理想とされており、この状態を目指すことが腸活です。

・善玉菌
善玉菌は、食物繊維や糖質を分解することで腸内で発酵活動を行います。
発酵でつくり出された酢酸や乳酸などにより、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑え、毒性物質の生成を抑えることにつながります。

・悪玉菌
悪玉菌は毒性物質を生成することで、便秘や肌荒れ、肥満などを引き起こす原因になります。
悪いイメージがありますが、タンパク質を分解して便として排泄する働きもあります。
さらに悪玉菌と善玉菌は共存関係にあり、悪玉菌がゼロになることで善玉菌の働きが抑制されると考えられています。

・日和見菌(ひよりみきん)
腸内細菌の過半数を占めているのが日和見菌です。
日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方します。
悪玉菌の割合が多くなると、そこに日和見菌が加勢して腸内環境の悪化につながります。
バランスの良い食生活や適度な運動により、善玉菌が多い状態を保つことが大切です。

なぜ腸活が大事なのか?

腸内環境が乱れることで、下痢や便秘など身体に不調を引き起こします。
その原因は、運動不足や食生活の乱れ、ストレスだと言われています。
腸内環境を良い状態に維持するために、日常生活から取り入れることができるのが「腸活」です。

身体の根幹となる腸

腸には、身体の根幹となるような機能があります。
小腸は、主に食べ物の消化や栄養の吸収をします。
また、人体で最大の免疫器官でもあり、体内の免疫細胞のうち約70%が存在していると言われています。
さらにホルモンの生成もしているため、自律神経の働きと深く関係しています。
大腸は、主に水分を吸収して便をつくる働きをします。
腸活では、小腸と大腸の両方の腸内環境を整えることが重要です。

腸の不調による身体への悪影響

腸の不調が、冷え性や頭痛、肩こり、肌荒れ、肥満、疲れやすさ、風邪のひきやすさなどに関係していることがあります。
先ほどもお伝えしたように、腸は身体の根幹となる重要な働きを担っています。
腸の不調が栄養の吸収や老廃物の排出だけでなく、免疫や自律神経にも影響を与えるのです。
その結果、腸の不調が身体全体の不調にもつながります。

腸は「第二の脳」

腸は脳の次に多くの神経細胞を保有している臓器で、生命維持に関わる指令を出しているため「第二の脳」と呼ばれています。
また、脳と腸は自律神経でつながっており、互いに影響しあう関係にあります。
人前でのプレゼンや試験を受ける前など、緊張によって腹痛や下痢になることがあるのはそのためです。
逆に腸が自律神経を通して、脳に影響を及ぼすこともあります。
腸内環境が良くなると、自律神経の働きが安定するため、精神的に良い状態を保つことができるのです。

腸活のメリットとは?

腸活による腸内環境の改善が、私たちの身体にさまざまな良い影響を与えてくれることがわかっています。
便秘の解消はもちろん、美肌促進、エイジングケア、ダイエット促進、メンタル面の健康維持など、様々なメリットがあります。

便秘解消

便秘は、3日間以上排便が無い状態を指します。
腸内環境が悪くなることにより、腸内に悪玉菌がつくり出した毒性物質が溜まり、便秘や下痢、おなかの張りなどが気になるようになります。
腸活を通して腸内環境を整えることで、腸に溜まっていた便も排出され、便秘の解消につながります。
食事は善玉菌やオリゴ糖、食物繊維を含む食品を意識して摂りましょう。
さらに運動やマッサージをすることで、胃や腸の働きを活性化し便意を促すことが期待できます。

免疫力アップ

細菌やウイルスから身体を守る免疫細胞の約70%が、腸内に存在すると言われています。
口で食事や呼吸をするたびに、腸は食べ物だけでなく細菌やウイルスにも触れることになります。
腸内環境を整えることで、免疫細胞の働きを活発にします。

美肌促進・エイジングケア

肌荒れの原因は、腸が関係している場合が多いと言われています。
腸内環境を整えることが腸の動きを良くし、老廃物の排泄がスムーズになるため、肌トラブルを減らすことにつながります。
また、消化吸収の効率が良くなるため、肌に必要な栄養素を十分に体内に吸収できるようになります。

ダイエット促進

腸内細菌のバランスが整うことで、余分な脂肪を溜めにくい体質作りにつながります。
これは、善玉菌が食物繊維を分解し、酢酸や酪酸のような短鎖脂肪酸を産生するためです。
短鎖脂肪酸である酢酸は、脂肪細胞の分解を促進し、脂肪の蓄積を抑制します。

精神的な安定

脳と腸は自律神経でつながっており、腸では神経伝達物質の分泌量を促す指令が出されています。
腸内環境が整うことで、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌量が増え、精神的な安定が期待できます。

腸活のポイント

腸活のポイントは「食事」「睡眠」「運動」の3つです。
食事・睡眠・運動のいずれか1つが崩れると、それまで順調だった残りの2つも徐々に崩れます。
腸活は継続することが大切です。
ここからは毎日の生活に簡単に取り入れることができる食事と睡眠、運動について紹介します。

食事

腸内環境を整えるためには、善玉菌を悪玉菌より優勢にしておくことが大切です。
毎日の食事に「発酵食品」「食物繊維」「オリゴ糖」を、積極的に取り入れることをおすすめします。
これらは、腸内で一定期間は存在しますが定住することはありません。
そのため、毎日継続的に摂取することが重要です。

・発酵食品
発酵食品は、麹菌や乳酸菌などの微生物により食品が持っているタンパク質や糖を分解して変化した物を指します。
発酵することで、食品の保存性が高まるだけでなく、旨味が増したり、酵素を豊富に摂取できるなどのメリットがあります。
発酵食品である納豆、キムチ、ヨーグルト、味噌などは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く含みます。

・食物繊維
食物繊維は「第6の栄養素」とも言われ便秘解消を助けたり、腸内細菌のエサになったりします。

水溶性食物繊維:
水溶性食物繊維は2つの役割を担っています。
便を軟らかくし滑りを良くすることと、腸内細菌のエサになることです。
不溶性食物繊維によりかさ増しされた便を、スムーズに排便できるように手助けをしてくれます。
さらに、腸内細菌は水溶性食物繊維をエネルギー源にし活発化することにより、腸内環境を整えてくれます。
代表的な食材は、わかめ、昆布、こんにゃく、リンゴなどがあります。

不溶性食物繊維:
不溶性の食物繊維は、便のかさ増しと腸管の掃除の2つの役割を担っています。
便の量が増えることで、腸のぜんどう運動が活発になり便通を促します。
さらに大腸の中を移動しながら、腸壁にこびりついている古い便や老廃物をからめ取ります。
代表的な食材は、野菜、豆類、穀類、キノコ類、海藻などがあります。

食物繊維を含む食品を摂ることで、胃や腸で膨らみ便通を促し、腸内をゆっくり移動して発酵・分解され、腸内環境が改善されると言われています。

・オリゴ糖
オリゴ糖は糖類の一種であり、大豆、玉ねぎ、ゴボウ、バナナ、はちみつなどに含まれています。
腸内で善玉菌の栄養源になるオリゴ糖は、消化性オリゴ糖と難消化性オリゴ糖に分けられます。
腸活との関わりが強いのは、難消化性オリゴ糖です。
善玉菌を含む乳酸菌との相性が良く、オリゴ糖と乳酸菌を組み合わせて食べることがおすすめです。
ヨーグルトに、はちみつやバナナなどを食べ合わせると良いですね。

睡眠

十分な睡眠を取ることで、自律神経を整えることが大切です。
眠っているときは、身体をリラックスさせる副交感神経が優位になります。
質の良い睡眠は自律神経を整え、腸の働きを整えることにつながります。
睡眠時間を増やすだけでなく、湯船に浸かったり、アロマを焚いたりと心地よく眠れる環境をつくり、睡眠の質を向上させることがおすすめです。

運動

腸まわりの筋肉を刺激する適度な運動により、便を排出する腸のぜんどう運動を促すことが期待できます。
また、筋肉をつけることで姿勢も良くなり、内臓が圧迫されず本来の機能を発揮しやすくなります。
スクワットやウォーキング、ストレッチと、お腹まわりの筋肉を意識した運動がおすすめです。
運動はアスリートのようなトレーニングではなく、毎日続けられるものから取り入れましょう。

さいごに

腸活には、便秘解消や免疫力アップ、美肌促進、ダイエット促進、メンタル安定など多くのメリットがあります。
「食事」「睡眠」「運動」を意識して取り組みましょう。

他の記事では、腸活のひとつであるファスティングについても紹介しています。
腸内環境を保つ方法を、詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。

日々のストレスや、病原菌などから身体を守るのはわたしたち自身です。
腸活は、ポイントを押さえることで簡単に始めることができます。
ぜひ、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

東海林 莞奈  管理栄養士

経歴
家政学部・管理栄養学科を卒業後、老人ホームと保育園で給食管理業務を経験。
現在はフリーランスとして、離乳食や家族向けの調理サービスを提供している。
子ども向けの食育や栄養講座、ファスティング講座の講師としても活躍。

自己紹介
フリーランス管理栄養士の東海林莞奈です。
これまでは、子どもとお年寄りの食事管理に関わってきました。
この経験を活かし、家庭での食事や栄養をサポートしたいと思いフリーランスに転向。
今後は、働く世代やママなど、さらに幅広い方の健康をサポートする活動をしていきたいと考えています。