オーガニックとは?正しく理解したい人のために定義や認証について解説

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オーガニックとは?正しく理解したい人のために定義や認証について解説

オーガニックと表示された商品を見かけることが多くなりました。
オーガニックと書かれていると、何となく体に良さそうに感じ、普通の商品と何が違うのか分からずに選んでいる方も多いのではないでしょうか。
正しく理解したい人のために、今回は、オーガニックの定義や特徴を解説します。

オーガニックの定義

オーガニックは英語でOrganicと表記し、由来は「本来の」や「源」から、意味は「有機」と同じになります。
つまり、オーガニックと有機は同じことを指しています。
農薬や化学肥料、化学物質に頼らず、太陽、水、土地などの自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法のことを指します。

オーガニックの目的とは?

みなさんがオーガニックの商品を選ぶのは、どんな理由からでしょうか。
食品の安全性を考えて選ぶ方も多いかもしれませんが、それはオーガニックの目的ではなく結果に過ぎません。

日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会は、オーガニックの取り組みに関して、5つの目的を掲げています。
(参考:https://www.jona-japan.org/about/
オーガニックの目的は、私たちに欠かせない微生物や植物の生存環境を守ることです。
地球上の生命体は、全て食物連鎖でつながっているため、土の中や水の中で、微生物や植物が生存する環境が汚染されていないことが大事になります。
そのため、化学農薬や化成肥料、遺伝子組み換え技術などを避けて、自然のままの食物連鎖を目指すことがオーガニックの目的です。

オーガニックと混同しやすいもの

オーガニックの類似語には、「無農薬」「ナチュラル」「無添加」「ボタニカル」などがあります。
これらの用語の意味と違いを理解しているでしょうか。どれも何となく体や環境に良さそうに感じるけれど、オーガニックとは違う意味を持っています。

有機

「有機」と「オーガニック」は同じ意味ですが、「有機」には有機JAS認証の対象となる農産物、加工食品、畜産物、飼料の4種類があり、使える肥料や食品添加物、栽培・製造方法などが、公的基準で決められています。
そのため、厳しい基準をクリアし、認定を受けた業者によって、有機JASマークをつけられたものだけが、オーガニック、または有機と表示することができるのです。

無農薬

オーガニックは無農薬と思っている人は多いかもしれませんが、実はオーガニック=無農薬ではありません。
無農薬は、栽培中に農薬を使用しない栽培方法で作られた食品です。
栽培している時に農薬を使わなければ、例え、以前使った農薬が残留している土地で生産されたとしても、無農薬と見なされます。
一方、オーガニックは、全て無農薬ではなく、原則として化学合成の農薬を避けることになっていますが、天然由来の農薬(微生物の力を使用した殺菌剤など)は有機農薬として使用できます。
またオーガニックの場合、その土地で3年以上有機肥料が使われていることも基準になっています。

ナチュラル

ナチュラルは、「天然由来のもの」を意味します。
自然の素材を加工して作られたもの全般を指しますが、その配合の割合に特に決まりはありません。
オーガニックは、ほとんど自然の成分でできているのに対し、ナチュラルは天然成分だけとは限りません。
また、オーガニックのように国や団体による認証基準がないため、ナチュラルはほとんどのケースが曖昧に使用されています。

無添加

無添加は、着色料や保存料などの添加物が使用されていないものになります。
あくまで添加物と呼ばれる化学成分が含まれていないだけで、他の化学成分が含まれている可能性はあるため、ほとんどの化学成分を含まないオーガニックとは異なります。

ボタニカル

ボタニカルは、「植物由来のもの」を意味します。
成分の中に一つでも植物由来の成分が配合されていれば、その商品はボタニカルと謳うことができます。
よく聞く商品にボタニカルシャンプーがありますが、これは植物から抽出した成分が入っているシャンプーのことです。
有機栽培かどうかなどの、植物の栽培方法の取り決めはないため、オーガニックとは全く別物になります。

オーガニック認証とは?

オーガニック認証とは、有機の基準を満たして生産されたものかどうかを検査し、第三者機関が証明することです。
この認証機関の証明を受けることで、製品にオーガニックの表示をすることができます。

日本の認証機関

日本の有機登録認証機関は、農林水産省の「有機登録認証機関一覧」有機登録認証機関一覧:農林水産省 (maff.go.jp)で確認することができます。

オーガニック食品の認定

日本のオーガニック食品は、農林水産省から登録を受けた第三者機関である、オーガニック認証センターが審査をし、「有機JASマーク」が付けられた食品のことを言います。
厳しい審査基準をクリアした食品にのみ認定されるため、有機JASマークが付いているかどうかは、オーガニック食品を選ぶ時に確認しましょう。

オーガニックコスメの認定

日本のオーガニックコスメは、国による認証機関はなく、民間機関が認証しています。
NGO団体である日本オーガニックコスメ協会や、エコサートジャパンなど、団体によってそれぞれ基準を設けています。
オーガニックコスメを選ぶ際は、これらの機関の認証マークやラベルを確認することが大事です。

海外の認証機関

海外には多数のオーガニック認証機関があります。
例えば、「USDA」(アメリカ)、「Euroleaf」(ヨーロッパ)、「ECOCERT」(フランス)「ACO」(オーストラリア)など。
なお、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に関しては、海外で認定を受けていたとしても、日本でオーガニックと表示するには有機JASマークを取得する必要があります。
また、輸入食品については、輸入業者も有機JAS認定が必要です。

オーガニック認証マーク

オーガニックの商品なのか見分けたいときに役に立つのが、オーガニック認証マークです。
日常で見かける認証マークをいくつか紹介します。

食品に使われる認証マーク

食品によく使われる認証マークは、「有機JASマーク」です。
日本農林規格の規格に適しているもののみがオーガニックを表示できますが、規格に適合していても認定を受けた業者が有機JASマークを付けたものでなければ、オーガニックや有機の表示は許可されていません。
化学肥料や農薬をできる限り使用せず生産されたものであり、認定後も、有機JAS規格に基づいた生産を行っているかという調査が、最低1年に1回は行われるという厳しい基準が設けられています。

化粧品に使われる認証マーク

化粧品には「自然派」や「ナチュラル」などの記載がある商品が多く混同しやすいため、オーガニックコスメを選ぶときは認証マークが付いているかを確認しましょう。
化粧品に使われている認証マークは15種類以上あり、代表的なものは「ECOCERT」や「BIO」、「ECO」などがあります。

よくあるオーガニックに関する疑問

オーガニックと聞いて環境や体に良さそうと感じる人は多いと思いますが、一方で、本当にそうなのか疑問に思っている人もいるのではないでしょうか。
オーガニックについて、よく挙がりそうな疑問を解説します。

オーガニックの商品は高い?

国産と外国産の価格を比べた場合、日本は海外より人件費や資材費、燃料費など生産に係るコストが高いという要因から、当然価格は割高になります。
しかし、オーガニック商品とオーガニックではない商品を比べた場合、必ずしもオーガニックが割高とは限りません。
オーガニックでなくても高級な食品は、探してみると色々あります。
生産コスト、流通経費、店頭での回転率(売れやすさ)、市場性や希少性など様々な要因によって、食品の価格が決まるため、オーガニック食品が高い場合は、これらの要素が影響していると言えます。

オーガニックは環境にやさしい?

オーガニックが、農薬や化学物質を控えた生産方法であることは、すでに紹介しました。
化学農薬を大量に使用することは、害虫を退治することはできますが、一方で、微生物や土壌にもダメージを与えてしまい、食物連鎖が正常に作用しなくなる原因になります。
また、海に流れ出た化学汚染物質は、水質汚染や海洋の生態系にも悪影響を及ぼすと言われています。
このような事実から、オーガニックは地球環境にやさしい生産方法と言えるでしょう。

オーガニック食品は美味しい?

食品の味を美味しいかどうか判断することは、様々な個々のケースがあるため難しいでしょう。
一つ言えるのは、オーガニック食品は自然に近い味がするということだそうです。
野菜嫌いだった子どもが、オーガニックなら喜んで食べたという例も数多く挙げられているそうです。
オーガニックが気になる方は、まずは簡単な家庭菜園などを試してみてはいかがでしょうか。

オーガニックの安全性

オーガニックが安全かどうかを知るには、食品にはどういった危険があるのかを理解しておく必要があります。
食品の安全性は、以下の3つの危害が一定基準に抑えられているかどうかで判断されます。

・異物などの物理的危害
・菌類などの生物的危害
・農薬や重金属等による化学的危害

物理的危害と生物的危害は、食品衛生法によりすべての食品で守られているため、オーガニックと一般の食品で違いはありません。
しかし、オーガニックは添加物や化学物質を可能な限り排除しているため、化学的危害の点では、一般食品よりリスクが少ないと言えます。
つまり、オーガニックの安全性は、化学的危害の点で比較して一般の食品より安全だとされています。

さいごに

意外とオーガニックについて知らなかったり、誤解していたことに気づいた人もいるのではないでしょうか。
オーガニックの商品を選ぶことは、人にも環境にもやさしいことですが、一方で、オーガニックと書かれた商品を選べば全て安心というわけではありません。
オーガニックの製品の見分け方や、特徴、どのようなメリットがあるかをよく理解し、この機会に、人にも環境にも良い選択をしてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

東海林 莞奈  管理栄養士

経歴
家政学部・管理栄養学科を卒業後、老人ホームと保育園で給食管理業務を経験。
現在はフリーランスに転向し、離乳食や家族向けの調理サービスを提供している。
子ども向けの食育や栄養講座、ファスティング講座の講師としても活躍。

自己紹介
フリーランス管理栄養士の東海林莞奈です。
大学卒業後、子どもとお年寄りの食事管理に関わってきました。
この経験を活かし、家庭での食事や栄養をサポートしたいと思いフリーランスに転向。
今後は、働く世代やママなど、さらに幅広い方の健康をサポートする活動をしていきたいと考えています。